私がマニキュアをしなくなった妙な理由

お化粧は一切厳禁!というかなり厳しい女子高を卒業し、晴れて大学生となった頃の話です。

世の中にはマニキュアなるものがあり、それによって爪を美しくなよやかにみせることができるという…そんな伝説が実現化したようなショックをおぼえて(本当です)、ドラッグストアの売り場でやや恍惚と立ち尽くしながら、私は人生初のマニキュアを購入しました。

もともと絵を描くのが得意で、よく絵筆も握ってきましたから、これもそんなものだろう軽い軽い!…などと思っていたら大間違いでした。

マニキュアとは、何と理不尽に塗りにくいものなのでしょう…悪戦苦闘の末、長い時間がたちました。

ようやく、両手の爪に塗り終えた頃は、あの独特の臭いで頭がくらくらしていました。

が、出来上がりはすさまじい惨状たるものでした。

それでも「まあ初心者だからそのうち上手くなるよ」と周囲の友人たちに励まされ、数回は頑張ってみたのです。

しかし、下手な塗り方とは別に、どうも引っかかることがありました。

息が苦しいのです。

もちろん呼吸ができないわけはないのですが、何かこう、体の中の空気の通る部分にひっかかるものができあがり、違和感を醸し出している気がしてなりませんでした。

そしてその違和感は、マニキュアをおとすと同時に、あっさりと消えて行くのです。

友人に話すと、「アンタ爪呼吸してんの?」と笑われました。

かもしれません、両生類の中には皮膚で呼吸しているものもあるというし、もしかしたら私は爪からごく微量の空気を取り入れているのかもしれないのです。

これが、私がマニキュアをしない(できない)理由です。

あの、妙な息苦しさを考えると、夢に見た美しきまろやかなネイルのイメージは、さほど執着を生み出さなくなり、今に至っています。

 

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